生地Q&A
*内容に関しては、随時バージョンアップを行います。
Q:「生地を選ぶ時のポイントはありますか?」
A:印象、効果と合わせて1つの目安をご紹介します。参考にご覧ください。
Q:「普通のスーツといえばどんな生地?」
A:「紺、無地、綾織り、280g/m前後、ウールメイン」
Q:「アイモノ、3シーズンやテンマンス(10ヶ月)ってどういう意味ですか?」
A:「すべて一年のうち長い期間着用可能な生地という意味です、気温10℃~30℃のイメージでいいでしょう」
Q:「g/mという表記を見ますがどういう事ですか?
A:「生地巾150cm×生地長100cmあたりの重さです、厚さに比例します」
織機によって巾が違いますが基本的にウール生地はだいたい150cm巾です。もし生地巾が75cmですと重さが従来の二倍の感覚になるのでご注意下さい。
Q:「撥水性のある生地ってどうですか?」
A:「メリットとデメリットがあります、補足を読んでご検討ください」
補足)近年撥水機能をもった生地があります。
ほとんどの方法が織上がった生地に撥水スプレーのような薬剤を噴霧して生地をコーティングし撥水にするやり方です。
自然な生地の風合いが損なわれるデメリットがありますが赤ワインをこぼしてもパラパラとはじいたり水性の汚れが定着しにくいというようなメリットがあります。
この薬剤はドライクリーニングで取れやすいという特徴があります、よって効果が減少していきます。
ウールは自然の油分をもっているので少々の水分であれば撥水します。
Q:「光沢のある生地ってどうですか?」
A:「光沢には二種類のタイプがあります、補足を読んでご検討ください」
補足)生地表面を押しつぶす事で鏡のような光沢を出す加工はピカピカした光り方で少しケバケバシイ印象を与えます。
一方で、高品質の繊維は光らせる加工なく原繊維の品質の高さからぬめるような鈍い光沢を放ち真の高級感を持っています。
光ったスーツのメリットは高級感を印象付ける事でしょう、ハレのシーンと相性が良いでしょう。
一方で、あなたが高いスーツだという印象を与えたくない場合は控えた方がよいでしょう。
Q:「ブラックスーツ、礼服の生地って何が違うの?」
A:「かなり違うという視点と、ほぼ一緒という視点があります」
補足)天然繊維に染色する生地においては、完全なる漆黒の黒は再現が難しく
赤っぽい黒から、青っぽい黒、グレーっぽい黒などが存在します。
光沢の無い黒色は厳粛な場面に相応しく、喪や儀礼式のモーニングなどに向いています。
光沢のある黒色は華やかな場面に相応しく、パーティーのタキシードなどに向いています。
また、黒生地にも春夏、秋冬向けの生地が存在します。
黒の生地名としては、バラシャ、ドスキン、タキシードクロスなど色々存在します。
これらが一言にブラックといってもかなり違うといった視点です。
一方で、一般的な感覚では
「黒に見えれば全部黒、ブラックスーツなんて一緒でしょ」
これも一つの視点でしょう。
アイモノ(合物)のブラックスーツを一着もっておけば一年を通して急な冠婚葬祭のシーンに対応できます。
各仕立て屋で用意している黒生地には差があります、担当者にご相談ください。
Q:ジャージ素材のスーツってどうですか?
A:「メリットとデメリットがあります、補足を読んでご検討ください」
補足)最近ジャージ素材の重衣料をよく見かけるようになりました。
社会情勢を反映してドレスダウン、カジュアルアップの自由度が増した事があるでしょう。
ジャージ素材は基本的に糸を編んだニットで織物ではありません。
長所はとにかく伸び縮みが機能的で楽な事、短所はどうしてもパっと見のカジュアルな印象からは逃れられず、厳粛なシーンでは場違いになるでしょう。
最近は割とパリッとしたジャージ素材も見かけますがやはり一瞬で編みか織りかはわかるものです。
とくに国際的な場ではこのパッと見の印象が非言語コミュニケーションとなって相手に伝わるので印象面で損をされない事を願います。
もし、ニット生地と織り生地の差がよくわからない方はイメージしてみてください。
お手持ちの白Tシャツのニット生地でビジネスシャツを作ったらどうなるか?
お手持ちの白ビジネスシャツの織り生地で白Tシャツを作ったらどうなるか?
前者は、クタクタでコシの無い白ビジネスシャツができますし
後者は、パツパツで首や手が通らない白Tシャツができるでしょう。
Q:「生地ブランドの国って何か意味ある?」
A:「ざっくりとしたお国柄はあります」
補足)同じ国でも色んな生地メーカーがあるので一概には言えませんが、傾向はあります。
| ・イギリス/がっしりとしたコシのあるコンストラクションでシンプル無骨な柄が多い。 ・イタリア/柔らかいソフトなコンストラクションでお洒落なテキスタイルデザインが上手。 ・フランス/主に外国に生地織りを別注する事が多く独特なテキスタイルデザインがある。 ・日本/海外に負けないように努力して織っている、テキスタイルデザインが少々苦手か。 ・中国/とにかく安さがメリット、大量の生地を作っています。 |
Q:「イタリアの有名生地ブランドって凄いんでしょ?」
A:「生地ブランドの名前でなく、生地の品質を見る習慣をつけましょう」
補足)たしかに有名ブランドの生地は一定の品質を保証するでしょう。ただ、有名ブランドも色々なレシピの生地を織っています。
自動車業界や時計業界も一緒ですよね同じメーカーで色々な商品を作っています。生地も同じです。必ず生地の品質を確認しましょう。
Q:「生地の耳ってなんですか?」
A:「生地の端の部分です、パンの耳みたいなイメージです。」
補足)注文服に使う生地は大きく分けて二種類が存在します。
「生地耳あり」と「生地耳なし」です。
実際には、全ての織物の両端には必ず耳があります。
耳がないと端がバラバラにほつれますからね。
基本的に洋服には使わない、使っても洋服になった時に表からは見えない部分に使います。(耳は糸がほつれないので靴ヅレやポケット内部の布、縫代部分に使ったりもします)
ここで言う耳ありとはその耳に生地メーカーのブランド名や生地の品質を示す内容が記されている生地の事をいいます。
注文服に使う生地は耳ありが多く、それは一反から一着分づつ生地をカットしてつかうという理由や生地の品質を表記したり、生地ブランドのステータスを買い手に表現しています。
一方で、大量生産、大量カットする既製服で使う生地においては生地メーカーから工場に直接入り、買い手から見えない場所で全て裁断するため耳なし(耳に記入なし)でいいのです。
Q:「生地の用尺ってなんですか?」
A:「注文服で使う生地の量です」
補足)ざっくり言うと、スーツで3m、ベストで0.8m、パンツで1.5m、コートで2.5mくらいです。
身返しやフロントや裾のデザイン、横幅縦丈のサイズ感で人それぞれなのは言うまでもなく、仮に同一人物、同デザイン、同型紙でも無地か格子かで柄合わせ(横縞を通す、縦縞を通す)によって用尺は変わります、生地巾によっても用尺は変動します。
基本的に無地か格子かで値段が変わる仕立て屋は聞いたことがありませんが、格子は柄を併せながら裁断するため手間が大きく違います。
Q:「ショートレングスという生地って何ですか?」
A:「ひと昔前にあらかじめ一着分にカットされた生地です」
補足)現在のウール生地はだいたい50mで一反とされています。
現在のシングルスーツ用生地はだいたい3.2m前後でカットされていたりするので一反で16着程度が作れますね。
昔は日本人が小柄で、かつ、仕立て屋の手裁断で型紙をギチギチに差し込んで裁断できたためショートレングスという2.8mや2.9mなど3.0m以下でカットされた生地があります。
仮に、あなたがもしどこかでお気に入りのショートレングス生地を見つけたとして、あなたのスーツ用尺3.1mだった場合はその生地でスーツを作りたくても用尺が足りないからスーツを作れないといった場合があります。
Q:「デッドストックの生地って何ですか?」
A:「ひと昔前の生地で、現在市場に流通していない生地です」
補足)ひと昔前という時間感覚にはっきりとした定義はありませんが、
今現在一般に流通していない生地で長い間お店や生地屋に保管してある生地をデッドストックという事があります。
メリットは今では手に入らない品質の生地がある事、
デメリットは羊の油分が抜けてバシバシになっていたり虫食いがあったり、各時代のテキスタイルデザインの違いから柄が独特だったりします。
ちなみに、昔は輸送管理が悪く(歪んだ状態での船便による長旅)歪んだ生地が多くありました。そこで、生地の裁断前に織上がった状態にしっかり戻す縮絨という技術が大事でした。
もちろん、今でも縮絨は大事な技術でしっかりした工場はこれをちゃんと行っています。縮絨をちゃんと行って裁断すると、洋服になった時に型崩れしません。
*縮絨/生地に水分を与えて経糸、緯糸を直角に戻し熱を与えて整えます。