【第二章/注文服を攻略する-③仕立ての要素-4.縫製の質/ジャケット】

 

ここではジャケットの縫製をクローズアップして説明します。

 

なぜなら、ジャケット縫製の差がオーダースーツ価格の差に大きく影響するからです。

 

また、ジャケットの縫製が理解できれば、その他のアイテムの縫製は簡単に理解できます。

 

最初はわからなくて当然です、大変だと思います。

大丈夫です、心配いりません。トレーニング(意識)を続ければ、誰でも自然と理解できるようになります。

各縫製箇所に対応した縫製動画をリンクしておきますので参考にしてください。(現在手縫い動画が多めです。徐々にミシン縫い動画を追加します)

 

それでは具体的な縫製箇所を理解しましょう!

 

 

【前身頃_前ダーツ】

ジャケットの前面にあるパーツを前身頃といい、腰ポケットの前端に縦についている縫い目が前身頃の前ダーツです。オーソドックスなジャケットでは胸ポケット下から腰ポケットまで四角形のダーツがついています。

例えば、ナポリ系の型紙では胸ポケット下から前裾まで五角形のダーツがついています。

フィレンツェ系の型紙ではこの前ダーツそのものがありません。

各仕立ての個性がでる部分です。

動画➡前ダーツ_地縫い/ミシン縫い(五角形/ナポリ式)

動画➡前ダーツ_ステッチ/手縫い(五角形/ナポリ式)

動画➡前ダーツ_地縫い/ミシン縫い&ステッチ/無し(四角形/スタンダード)

 

 

【前身頃_脇縫い】

ジャケットの前面にあるパーツを前身頃といい、前身頃脇の袖下から腰ポケットを貫通し裾に向かって入っている縫い目が脇縫いです。

現代のオーソドックスなジャケットではこの縫い目が裾まで入っています、これは前身頃を二つに分割する方法で、このパーツを細腹といいます。

一方で、縫い目が腰ポケットで止まっている型紙は脇ダーツという生地をつまんで縫う方法です、前身頃が一枚の大きな布のまま縫製されます、結果として脇ラインが砂時計のようなシルエットを描きます。

この脇縫い目の設計は洋服の見た目に大きく影響を及ぼします、各仕立ての個性がでる部分です。

動画➡脇ダーツ_地縫い/ミシン縫い

動画➡脇ダーツ_ステッチ/手縫い

動画➡脇細腹_地縫い/ミシン縫い

動画➡型紙技術_脇ダーツを脇細腹に変化させる方法

 

 

 【前身頃_胸ポケット】

ジャケットの前面にあるパーツを前身頃といい、前身頃左胸についているポケットを胸ポケットといいます。オーソドックスなジャケットでは直線的な平行四辺形が多く、ナポリ系の型紙では湾曲した形をしています、これをバルカポケット(船型/イタリア語)といいます。

ポケットをカーブさせて作るのは技術が必要で、ポケットのカーブバランスや位置取りは各仕立ての個性がでる部分です。

動画➡胸ポケット_地縫い/ミシン縫い&ステッチ/手縫い(バルカポケット)

 

 

【前身頃_腰ポケット】

ジャケットの前面にあるパーツを前身頃といい、お腹の前から後ろ脇に向かって横についているのが腰ポケットです。

オーソドックスなジャケットでは両玉縁ポケットと言われる細長い長方形が二列に重なっているポケット口のデザインが採用され、その上にフラップといわれる蓋がついています。

縫製技術のポイントは両玉縁の口が開かないように、フラップが身頃に吸いつくようにできているかどうかで、そのためにはポケット口をカーブさせて柔らかく作る技術が必要になります、それを可能にするのが手縫いです。

ポケット縫い機械を使うと一瞬でポケットが出来上がりコストダウンできるのですが直線的で固くなるのが欠点です。

お手持ちのジャケットの両玉縁ポケットの細長い二列が前身頃と段差があればそれは機械ポケットの可能性が高いでしょう。

また、カジュアルジャケットではパッチポケットと言われる大きな外袋ポケットをつける場合があります。ナポリ系の型紙ではワイングラスのように湾曲していたり、アメリカ系の型紙では正方形的だったり。

各仕立ての個性がでる部分です。

動画➡腰ポケット_地縫い/ミシン縫い&ステッチ/手縫い(両玉縁&フラップ)

 

 

【前身頃_接着芯】

ジャケットの前面にある生地パーツを前身頃といい、前身頃の裏面全体に薄いシール状の芯を高温で接着するのが接着芯です。

接着芯のメリットは表生地が動かなくなるため安定した縫製ができます、完成した洋服前面がシワになりづらく洋服がスッキリした印象に仕上がります。

デメリットは接着による重さと固さがあります。またクリーニングで接着が部分的に剥離し、ジャケット前面がブクブクになる場合があります。

接着芯を貼らないメリットは表生地の風合いをそのまま感じられる軽く柔らかい着心地が手に入ります、デメリットは生地が動くため縫製が難しく、完成した洋服前面がシワになりやすい事です。

ひと昔前は接着芯=安物、悪者と論じられてきました、しかし接着芯の有無でメリットデメリットがある以上、一方的な優劣はつけられません。あなたがこの項目をどう考えるかでご判断ください

各仕立ての個性がでる部分です。

 

 

【前身頃_芯】

ジャケットの前面にある生地パーツを前身頃といい、前身頃の内側に内蔵されているのが芯です。

建築でいうところの柱にあたる部分で、表から目には見えませんが洋服構築の要です。

現代の“仕立て”では「芯無し」といわれるものがありますが、これはジャケットにほとんど芯を入れない事で、軽さ柔らかさをメリットに考えています。デメリットとしては、ジャケットの前面に構築する力がないのでフニャフニャな見た目になる事があります。

オーソドックスなジャケットに使う芯は異素材の生地を何枚も重ねて縫い合わせた毛芯です。

芯の全体のベースとなる台芯は獣毛や綿、化学繊維などで作り薄い厚い色々なタイプがあります。胸部分に使う胸増芯は馬毛を使う事が多くバス芯と呼びます、これも色々なタイプあります。その他、フェルトと言われる不織布や綿芯などを組み合わせて毛芯を作ります。

これらを平面的にミシンで縫い合わせて作るのが“既成芯”で、縫製場では大まかなサイズの既成芯をあらかじめ用意しておき、一人一人の型紙に近いサイズのモノを使います。メリットは早く出来るのでコストダウンができます、デメリットは洋服が平面的になりがちです。

一方で、一人一人の型紙に合わせて異素材の生地を裁断し、ハ刺し(糸がハの字に見える)という手縫い方法で立体的に組み合わせるのが“作り芯”です。

メリットは型紙と芯の設計が完璧にマッチするので洋服が立体的になります、デメリットは時間が多くかかりコストアップになります。

メリットとデメリットがある以上、芯だけで優劣をつけるモノではありません。あなたがこの項目をどう考えるかでご判断ください

各仕立ての個性がでる部分です。

動画➡芯_手縫い(作り芯)

 

 

【前身頃_芯すえ】

ジャケットの前面にあるパーツを前身頃といい、前身頃生地と芯をセットするのが芯据えです。

ジャンピングミシンといわれるミシン縫いで芯据えを行うメリットはスピードの速さでコストダウンできます。デメリットは平台の上での平面的な芯据えになるので洋服が平面的になりがちです。

手縫いで芯据えを行うメリットは前身頃と芯を立体的にセットできるので洋服が立体的になります。

デメリットは多くの時間がかかるのでコストアップになります。

メリットデメリットがある以上、芯据えだけで優劣をつけるモノではありません。あなたがこの項目をどう考えるかでご判断ください

各仕立ての個性がでる部分です。

動画➡芯すえ_手縫い

 

 

【前身頃_ラペル】

ジャケットの前面にあるパーツを前身頃といい、その前身頃の折りかえった衿の部分をラペルといいます。

前身頃生地と芯のラペルの部分を一体にセットするのがラペルハ刺しです。

ハ刺しマシンという生地をすくい縫いできるミシンでラペルハ刺しを行うメリットはスピードの速さでコストダウンできます。デメリットは平面的なハ刺しになるので完成したラペルがペタッと平面的になりがちです。

手縫いでラペルハ刺しを行うメリットは前身頃と芯を立体的にセットできるので完成したラペルが立体的で綺麗なロールを描きます。デメリットは多くの時間がかかるのでコストアップになります。手縫い職人は手の爪や皮を削りながらこの工程を行います。

メリットデメリットがある以上、ラペル芯据えだけで優劣をつけるモノではありません。あなたがこの項目をどう考えるかでご判断ください

各仕立ての個性がでる部分です。

 動画➡ラペル_ハ刺し/手縫い

 

 

【前身頃_身返し】

ジャケットの前面にあるパーツを前身頃といい、その前身頃の裏側に存在するのが見返しです。上半分はラペルとして見え、下半分はジャケット内側に隠れます。

よって、ジャケットの前面の構造は「前身表生地、芯、見返し」という三層になっています。

前身頃の前端と見返しの前端を中表にして縫ったあとでひっくり返して完成となります。

前端の地縫いはほぼミシンで縫いますがまれに手縫いで行う場合もあります。

もっとも差がでるのは、前端をミシンで縫ったあとの内側縫代の処理です。

縫代をアイロンで倒して終わる場合は前端に接着テープをアイロンで貼ってから前端を縫います。メリットはスピードが早くコストダウンになります。デメリットはパチっとはじけるような固いフロントエッジになります。

縫代を手縫いで内側にマツリつける場合はまず前端にテープを手縫いでカラゲ縫いし、前端をミシンで縫ったあと縫代を芯に手縫いでカラゲ縫います。メリットはシャープさと柔らかさが共存した自然な風合いのフロントエッジになります。デメリットは時間がかかりコストアップになります。

メリットデメリットがある以上、見返し縫いだけで優劣をつけるモノではありません。

あなたがこの項目をどう考えるかでご判断ください

 各仕立ての個性がでる部分です。

 動画➡身返し_地縫い/ミシン縫い&テープ/手縫い

 

 

【前身頃_内ポケット】

ジャケットの内側、身返しから前身頃裏地についているのが内ポケットです。

機能としては財布やペン、名刺入れ、たばこ入れなどがありますが、ジャケットのシルエットが壊れるのであまりモノをいれない方が良いでしょう。

ポケットについて形や大きさのリクエストがあれば担当者にご相談ください。

内ポケットの作り方は多く存在します。

オーソドックスなジャケットでは両玉縁ポケットと言われる細長い長方形が二列に重なったポケット口の作り方で素材は裏地を使います。ポケット縫い機械を使うと一瞬でポケットが出来上がりコストダウンできるのですが直線的で固くなるのが欠点です。

手縫い縫製では使っているうちに壊れたポケットだけを後から着脱し交換できるように工夫して作られた仕立てもあります。

各仕立ての個性がでる部分です。

動画➡内ポケット_地縫い/ミシン縫い&ステッチ/手縫い(着脱式ポケット)

 

 

【前身頃_裏地】

ジャケットの内側、身返しと連結しているのが前身頃裏地です。

大身返しと言われる表生地を多く使った身返しやこの裏地部分を全く使わない仕立てもあります。

この前身頃裏地の胸あたりに仕立てブランド名や生地ブランド名を縫いつける事があります、

内ポケット内側に製造年月日、お客様名を記したタグを縫い付ける事もあります。

ミシンで見返しと裏地を縫うメリットはスピードの速さでコストダウンできます。手縫いで見返しと裏地を縫うメリットは使っているうちに傷んだ裏地だけを後から着脱交換しやすい事です。

前身頃内側の形状についてリクエストがあれば担当者にご相談ください。

動画➡前身頃_裏地_手縫い(着脱式)

 

 

【前身頃_フロントステッチ】

前身頃裾のフロントカーブ~ラペル~上衿~ラペル~逆の前身頃裾までつなげてステッチを打ちこみます。

種類としては、縫い目の繋がったミシン目はカジュアルな印象になるので、クラシックスタイルの注文服では星縫い(ピックステッチ)が基本です。

星縫いには手縫いとミシン縫い(AMFという機械の名称)があります。

【星縫いの位置】

・無し/礼服に多い

・端から約0.2cm(コバ)のシングル/スーツに多い

・端から約1.0cmのシングル/ジャケットに多い

・端から約0.2cm+約1.0cmのダブル/ナポリ服に多い

 動画➡前身頃_フロントステッチ_コバ_手縫い

 

 

【後身頃】

ジャケットの背中部分一面を後ろ身頃と言います。

機能性を高めるベントが入っている場合があります、ベントについて形や長さのリクエストがあれば担当者にご相談ください

オーソドックスなジャケットでは二枚の布を背中の中心線で縫っています。

型紙のバランスがよければ型紙通りミシンで縫っただけでも背中に吸いつくように仕立て上がります。

手仕事のクセ取りにより湾曲した後身頃は第二の皮膚のようなフィット感があります。

【後身頃_裏地】

ジャケットの背中部分の内側に後ろ身頃裏地があります。

オーソドックスなジャケットでは二枚の布を背中中心線で縫っています。

背抜きと呼ばれる後ろ身頃の裏地を使わない仕立てもあります。

後身頃裏地にについてリクエストがあれば担当者にご相談ください。

動画➡後身頃_地縫い/ミシン縫い&ステッチ/手縫い(クセ取り式)

 

 

【背脇】

前身頃と後ろ身頃を結合する部分が背脇縫いです

背脇_裏地】

前身頃裏地と後ろ身頃裏地を結合する部分が背脇裏地縫いです

 ミシンで縫うメリットはスピードの速さでコストダウンできます。手縫いで縫うメリットは使っているうちに傷んだ裏地だけを後から着脱交換しやすい事などがあります。

動画➡背脇_地縫い/ミシン縫い&ステッチ/手縫い

動画➡背脇_地縫い/ミシン縫い&ステッチ/無し

 

 

【肩線】

前身頃肩線と後ろ身頃肩線を結合する部分が肩線です。

ジャケット縫製の急所といわれる肩回りを構築する大事な部分です。

縫製技術としては、後ろ身頃の距離を前身頃より1.0cm~2.0cm程度長くして縫い合わせたり(イセを入れるといいます)、クセ取りを用いて前肩にしたり、肩回り内側の芯を工夫したり。ハウスモデルによって違います。

縫製の難易度が高く各仕立ての差がでやすい部分です。 

【肩線_裏地】

前身頃裏地と後ろ身頃裏地を結合する部分が背脇裏地縫いです。

裏地にしっかりとゆとりが入っているかどうかで着心地が変わります。

ミシンで見返しと裏地を縫うメリットはスピードの速さでコストダウンできます。手縫いで裏地を縫うメリットはイセが入りやすく、使っているうちに傷んだ裏地だけを後から着脱交換しやすい事などがあります。

動画➡肩線_地縫い/ミシン縫い&ステッチ/手縫い

動画➡肩線_地縫い/ミシン縫い&ステッチ/無し

 

【上衿】

前身頃と後身頃が繋がり、衿グリとなった部分に上衿をつけます。

ジャケット縫製の急所といわれる上衿を構築する大事な部分です。

吸いつくような上衿は富士山のように「のぼり」と言われる形をしています。

クセ取りを用いて布を湾曲させたり、身頃と自然につながるように上衿を据えたり。

縫製の難易度が高く各仕立ての個性がでやすい部分です。

【上衿_衿芯】

上衿内部の衿芯は主に麻が使われます、この衿芯とカラークロス(不織布)を縫い合わせて上衿の土台を作ります。

ハ刺しマシンという生地をすくい縫いできるミシンでラペルハ刺しを行うメリットはスピードの速さでコストダウンできます。デメリットは平面的なハ刺しになるので完成したラペルがペタッと平面的になりがちです。

手縫いで地襟ハ刺しを行うメリットは前身頃と芯を立体的にセットできるので完成したラペルが立体的で綺麗なロールを描きます。デメリットは多くの時間がかかるのでコストアップになります。手縫い職人は手の爪や身を削りながらこの工程を行います。

【上衿_ゴージライン】

前身頃ラペルの上辺と上衿を連結する部分をゴージラインといいます。

ゴージをカーブさせて作るのは技術が必要で、角度や位置取りは洋服の印象を左右するポイントです。

各仕立ての個性がでる部分です。

 動画➡上衿

*00:05~15:20 衿芯_ハ刺し/手縫い

*15:20~26:55 上衿_地縫い/手縫い

*26:55~28:58 上衿_クセ取り(一枚衿式)

*28:58~39:10 上衿_衿すえ(一枚衿式)

*39:10~43:00 ゴージ/手縫い 

 

 

 

【袖】

オーソドックスなジャケットでは二枚の布を縫い合わせて袖を作っています。

山袖という腕外側の部分と、谷袖という腕内側の部分です。

適切なクセ取りを入れると袖が美しいラインを描きます。

【袖_裏地】

袖の内側に袖裏地があります。

オーソドックスなジャケットでは二枚の布で袖裏を作っています。

【袖_袖口】

袖口は本開きと言われる袖口に釦ホールを開けてボタンで開き締めできるようにした仕様やアキミセといわれる釦ホールが開いてない仕様などがあります。

最近では、ナポリ発祥といわれる釦が4つで少しずつ重なっている仕様をよく目にすると思います。袖口についてリクエストがあれば担当者にご相談ください。

各仕立ての個性が出る部分です。

動画➡袖_地縫い/ミシン縫い&ステッチ/手縫い(袖口_本開き式)

動画➡袖_地縫い/ミシン縫い&ステッチ/無し(袖口_開き無し式)

 

 

 

【袖付け(アームホール)】

完成した身頃と完成した袖を結合する部分がアームホールです。

身頃のアームホールの円周より袖のアームホールの円周を大きくして両者を縫い合わせます。この距離の差をイセ量といいます。

・イセ量をどこにどれくらい入れるのか?

・ユキ綿やタレ綿といった副資材にどういったモノを使って構築するのか?

・内側縫代をどこでカットしたり、倒したりするのか?

 

 機能性とデザイン性を融合して各仕立ての特徴がでます。

例えば、

ナポリ生まれの袖山にギャザー(シワ)をいれて機能性と色気を出す通称マニカカミーチャ、やブリティッシュな印象を与える袖山が盛り上がったビルドアップショルダーなどがあります。

袖付けのデザインについてリクエストがあれば担当者にご相談ください。

各仕立ての個性が出る部分です。

動画➡袖付け_地縫い/ミシン縫い&ステッチ/手縫い(マニカカミーチャ式)

動画➡袖付け_地縫い/ミシン縫い&ステッチ/無し(ビルドアップ式)

 

 

【まとめ縫い】

全てのパーツが繋がったあとは最後に縫われていない細かい部分を縫います。

ジャケット内側裾の裏地中綴じ、アームホール裏地の祭り縫いや衿吊りというハンガーにかけるパーツなど、最後の仕上げ縫いの工程です。

 動画➡裏地_背脇_裾_アームホール_ステッチ/手縫い

 

 

【穴かがり(ボタンホール)】

ボタンを留めるための釦ホールは細さや固さに特徴がでます。

手縫いでは一個に約15分、ミシン縫いでは一個に1分かかりません。

ミシン縫いは固めでクリーンな印象、手縫いは柔らかくて色気があります。

ボタンホールは各仕立ての個性がでる部分です。

動画➡穴かがり_地縫い/手縫い&ステッチ/手縫い

 

 

【釦付け】

ボタン付けにはミシン縫いと手縫いがあります。

比較的取れ辛いのが手縫い釦付けです。

動画➡釦付け_手縫い

 

 

【プレス】

洋服を縫い終わったら仕上げのアイロンプレスに入ります。

縫製全てが終わった後でシルエットを変化させるプレスは着ているうちに着崩れます。

まず、途中の工程でちゃんとプレスが出来ている事が重要で最後のプレスで固めるイメージです。

 

 

【検品】

洋服が完成したら最後のチェックを行います。

着丈や袖丈やウエスト寸、型紙の通り完成しているか確認します。

ちゃんと思い通りの寸法で完成する事は簡単な事ではありません。

注文服では一着一着全ての寸法が違うので検品がしっかり行われる事が重要です。

 

【ボタンについて】

「天然素材は自然な高級感があり、化学素材は強くて安いという特徴があります」

補足)天然素材でよく用いられるのがホーン(水牛の角)とナット(椰子の実)です。

水牛の角は角質のムラがあり高級感があります、高級スーツについているボタンです。

ナット釦は自然なエイジングが魅力です、イタリア仕立てでよく使われます。

シェル(貝釦)は高級感がありますが割れやすく春夏感が強くなります、シャツでよく使われます。

メタル釦は金や銀の高級なモノから亜鉛の安価なモノがあります、重すぎると下にダレてくるので注意が必要です。

ポリエステル釦は強くて安価なので一番普及しているモノでしょう。

 

形は変わったデザインにすると悪目立ちする事があるので飽きないシンプルなモノがいいでしょう。

色は表生地より少し濃い色にするのが基本です。

海外の仕立屋では、裏地やボタンは仕立屋におまかせで、買い手が選ばないパターンもあります。

迷ったら担当者のアドバイスを聞いてみましょう。

 釦は時がたって付け替える事もできます。あまりナーバスにならずに選択しましょう。

 

 

 

 

以上、【③-4.縫製の質/ジャケット】を終わります。

【攻略ポイント!】

ご自身の用意したスーツを見ながら縫製CHECKシート.2(ジャケット)の各項目にマークを入れて下さい。

・初級者の方は、自分で判別できない箇所は担当者に聞きましょう。

・上級者の方は、ちゃんと縫製の質を理解できていたかご確認ください。

 

 

 

 

次項に進む→第二章-③-5.仕立てのまとめ

 

目次に戻る